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グリースの種類と特徴|リチウム・ウレア・カルシウムの違いを比較

潤滑コラム

グリースの種類と特徴|リチウム・ウレア・カルシウムの違いを比較

公開日:2026/5/13

更新日:2026/5/13

グリースの主要3種類の特性・用途・選定基準を、設備保全担当者向けに比較・解説。混合時の注意点も紹介します。

「グリースの種類が多すぎて、どれを選べばいいのか分からない」「リチウムとウレアは何が違うのか」と悩む設備保全担当者の方は少なくありません。

グリースは増ちょう剤の種類によって特性が大きく異なり、選定を誤ると焼き付き・漏れ・寿命短縮といったトラブルに直結します。

この記事では、代表的なグリース3種類(リチウム・ウレア・カルシウム)の特徴と違い、適切な選定基準、混合時の注意点まで、現場の保全担当者が知っておくべきポイントを詳しく紹介します。

グリースの基本構造と種類が分かれる理由

グリースは単一の油ではなく、複数の成分が組み合わさった半固体の潤滑剤です。種類の違いを理解するには、まずその基本構造を押さえる必要があります。

原因①:グリースは「基油+増ちょう剤+添加剤」で構成される

グリースは大きく3つの成分から構成されています。それぞれの役割と比率を理解することで、グリースの種類の違いがどこから生まれるのかが見えてきます。

成分役割含有比率の目安
基油実際に潤滑機能を担う油分。鉱物油・合成油など約70〜90%
増ちょう剤基油を保持する繊維状・スポンジ状の構造体約5〜25%
添加剤酸化防止・極圧性・防錆など機能を付与約1〜10%

グリースの「種類」とは、主にどの増ちょう剤を使っているかで分類されます。リチウム系・ウレア系・カルシウム系などの呼び名は、すべて増ちょう剤の違いを指しています。

ポイント:増ちょう剤がグリースの性格を決める 基油が同じでも、増ちょう剤が違えば耐熱温度・耐水性・機械的安定性が大きく変わります。グリース選定の際は、まず増ちょう剤の種類を確認することが基本です。

原因②:用途に応じて求められる性能が異なる

設備によって運転温度・湿度・荷重・回転数は大きく異なります。すべての条件に万能なグリースは存在せず、用途ごとに最適な種類が分かれているのが実情です。

  • 高温下で使われる軸受 → 耐熱性が高いウレア系が選ばれることが多い
  • 水がかかる環境 → 耐水性に優れるカルシウム系やリチウム複合系が候補
  • 一般的な汎用用途 → コストと性能のバランスからリチウム系が標準
  • 食品工場の機械 → H1認証グリースなど食品グレードが必須

原因③:増ちょう剤の組み合わせで「複合石けん基」も存在する

近年は単一の増ちょう剤だけでなく、複数を組み合わせた「複合石けん基」グリースも一般化しています。例えば「リチウム複合(リチウムコンプレックス)」は、通常のリチウム系よりも滴点(融け始める温度)が大幅に高く、より厳しい条件で使用できます。

注意:「リチウム系」と「リチウム複合系」は別物 製品名やラベルが似ていても、リチウム単一系(汎用品)とリチウム複合系(高温・高荷重対応)は性能が大きく異なります。納入伝票やSDSで増ちょう剤の正式名称を必ず確認することをお勧めします。

リチウム・ウレア・カルシウムの違いと選定方法

ここからは、設備保全の現場で最もよく目にする3種類のグリース(リチウム系・ウレア系・カルシウム系)の特徴を、選定基準とあわせて整理します。

ステップ①:3種類の主要グリースを一覧で比較する

まずは全体像を把握しましょう。以下の表は、増ちょう剤ごとの基本特性をまとめたものです。実際の数値は製品ごとに差があるため、あくまで一般的な傾向としてご覧ください。

項目リチウム系ウレア系カルシウム系
使用温度範囲の目安-20℃〜120℃前後-20℃〜150℃以上-20℃〜70℃前後
滴点の目安180℃前後250℃以上90〜100℃前後
耐水性良好良好非常に良好
機械的安定性良好非常に良好やや劣る
主な用途汎用軸受・産業機械全般電動モーター・高温軸受水まわり設備・低速軸受
コスト感標準やや高め標準〜やや安価

ステップ②:リチウム系グリースの特徴

リチウム系は、世界的に最も流通量が多い汎用グリースです。性能・価格・入手性のバランスが良く、特に指定がなければリチウム系が選ばれるケースが多いと言えます。

リチウム系が向いているケース 中温域(〜120℃)の一般軸受、汎用ギアモーター、工作機械の摺動部、自動車のシャシー部品など、特殊な高温・高荷重条件でない設備に幅広く対応します。リチウム複合系を選べば、150℃前後までの高温域にも対応可能です。

ステップ③:ウレア系グリースの特徴

ウレア系は、増ちょう剤に金属を含まない有機系のグリースです。高温下での耐久性が非常に高く、長寿命グリースとして電動モーター・製鉄設備・自動車補機類などで広く使われています。

  • 滴点が250℃以上と非常に高く、高温環境に強い
  • 機械的安定性に優れ、長期間使っても柔らかくなりにくい
  • 酸化安定性が高く、グリース寿命が長い傾向にある
  • 低温下では硬くなりやすい製品もあるため、低温始動には注意が必要

ステップ④:カルシウム系グリースの特徴

カルシウム系は、耐水性に最も優れたグリースです。一方で滴点が90〜100℃前後と低く、高温環境には向きません。水がかかる港湾設備や食品関連の低速軸受などで活躍します。

ポイント:水まわり設備での実績が豊富 カルシウム系は水に対して乳化しにくく、グリースが流れ出しにくい特性を持っています。屋外設備やウォッシャー機構など、湿潤環境での使用実績が長く、現場での信頼性が高いグリースです。

ステップ⑤:グリースを切り替えるときの注意点

設備に使うグリースを変更する際は、増ちょう剤の互換性に十分な注意が必要です。特に異なる種類のグリースが混ざると、性能が大きく低下するケースがあります。

注意:グリースの混合には注意が必要 異なる増ちょう剤のグリースを混合すると、急激な軟化や分離が起こるケースがあります。グリースを切り替える際は、既存グリースを除去してから補給することをお勧めします。

切り替え時は、可能であれば軸受を分解洗浄してから新しいグリースを充填する方法が最も確実です。分解が難しい設備では、新しいグリースを多めに補給して古いグリースを押し出す「フラッシング」も有効な手段です。

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よくある質問(FAQ)

リチウム系とリチウム複合系は同じものとして扱ってよいですか
いいえ、別の種類として扱うことをお勧めします。リチウム複合系は通常のリチウム系よりも滴点が大幅に高く、耐熱性能が異なります。混合した場合も性状が変化するケースがあるため、製品名と増ちょう剤の正式名称をSDSで確認することが重要です。
ウレア系グリースはリチウム系より優れているのですか
用途次第です。ウレア系は高温耐久性や長寿命性能でリチウム系を上回るケースが多いですが、コストが高く、低温始動性ではリチウム系が優れる製品もあります。設備の運転条件に合わせた選定が重要です。
グリースの色で種類を見分けることはできますか
色は添加剤や顔料によるもので、種類の判別には使えません。例えば「青いグリース」と一口に言っても、リチウム系・ウレア系・カルシウム系のいずれの製品も存在します。種類を確実に把握するには、容器の表示やSDSで増ちょう剤を確認してください。
屋外で水がかかる設備にはどのような種類が適していますか
耐水性に優れたカルシウム系やリチウム複合系が候補になります。設備の温度条件・荷重条件とあわせて検討することが重要です。判断に迷う場合は、現場条件を確認したうえで専門家に相談することをお勧めします。

まとめ

  1. グリースの種類は主に「増ちょう剤」の違いで分類され、リチウム系・ウレア系・カルシウム系が代表的です。
  2. リチウム系は汎用性とコストバランスに優れ、中温域の一般軸受に幅広く対応します。
  3. ウレア系は耐熱性・長寿命性に優れ、電動モーターや高温軸受で活躍するグリースです。
  4. カルシウム系は耐水性が非常に高く、水まわり設備や低速軸受に適しています。
  5. 異なる増ちょう剤のグリースを混合すると軟化や分離が起こるケースがあるため、切り替え時は既存グリースを除去してから補給することをお勧めします。
グリース選定に迷ったら専門家へ 設備条件・運転温度・荷重・既存グリースとの互換性など、考慮すべき要素は多岐にわたります。近畿インペリアルでは、現場ごとの最適なグリースを導入事例と分析データをもとに提案しています。

グリースの種類選びや切り替えでお困りの場合、まずはお気軽にご相談ください。
豊富な実績と約1,000設備の導入経験を持つ専門スタッフが対応いたします。

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この記事を書いた人
フミ
近畿インペリアル株式会社 営業部 主任

工業用潤滑剤の専門商社に5年間勤務。適油選定・オイル分析サポートから現場での更油作業まで自ら担当し、鉄鋼・食品・プラントなど多業種の設備保全を支援。営業担当としてお客様と現場に向き合い続けた実体験をもとに、「現場の担当者が本当に知りたいこと」を軸に記事を執筆しています。

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