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ちょう度番号とは?グリースの硬さ選び方5つのポイント

潤滑コラム

ちょう度番号とは?グリースの硬さ選び方5つのポイント

公開日:2026/5/13

更新日:2026/5/13

グリースのちょう度番号の意味と選定基準を、設備保全の現場目線でわかりやすく解説します。

「グリースのちょう度番号って結局なに?」「カタログを見ても0号・1号・2号と並んでいるが、どれを選べばいいのかわからない」とお困りの設備保全担当者の方は少なくありません。

ちょう度番号の選定を誤ると、潤滑不良による軸受の早期摩耗や、グリース漏れ・焼き付きといった重大トラブルに直結します。逆に、ちょう度の意味と選び方の基準を押さえておけば、設備寿命を大きく伸ばすことが可能です。

この記事では、ちょう度番号の定義から、現場での選び方の具体的な基準、よくある選定ミスまでを詳しく紹介します。

ちょう度番号とは何か|定義と基礎知識

ちょう度番号(ちょうどばんごう/稠度番号)とは、グリースの硬さを表す指標のことです。NLGI(米国潤滑グリース協会)が定めた区分で、000号から6号までの9段階に分類されます。数字が小さいほど柔らかく、大きいほど硬いグリースになります。

設備の使用条件や封入箇所によって最適なちょう度は異なり、選定を誤ると潤滑性能が十分に発揮されません。まずはちょう度番号の意味と、決定方法を正しく理解することが重要です。

よくある誤解①:ちょう度の測定方法を知らないまま選定している

ちょう度は「混和ちょう度(こんわちょうど)」という試験値で決まります。これは、規定の重さの円錐をグリースに5秒間沈めたときの「沈み込み量」を0.1mm単位で表したものです。沈み込みが深いほど数字が大きく、グリースは柔らかい(ちょう度番号は小さい)ということになります。

ポイント:混和ちょう度とNLGI番号の対応表 混和ちょう度の数値が大きいほどグリースは柔らかく、NLGI番号は小さくなります。
NLGI番号混和ちょう度(0.1mm)硬さの目安主な用途
000号445〜475非常に柔らかい(半流動状)集中給脂・歯車ケース
00号400〜430柔らかい(半流動状)集中給脂・小型減速機
0号355〜385やや柔らかい低温用・集中給脂
1号310〜340柔らかめ低温・低速軸受
2号265〜295標準的な硬さ汎用軸受
3号220〜250やや硬い高温・高速軸受
4号175〜205硬い高温・粉塵環境
5号130〜160非常に硬い特殊用途
6号85〜115ブロック状特殊用途

よくある誤解②:ちょう度と粘度を混同している

現場でよくある誤解が、「ちょう度」と「粘度」の混同です。グリースは基油と増ちょう剤からできていますが、ちょう度はグリース全体の硬さを示すものであり、基油の粘度(さらさら/どろどろの度合い)とは別物です。

注意:ちょう度が同じでも基油粘度は異なる たとえば同じちょう度番号のグリースであっても、基油粘度が低粘度(VG32相当)のものと高粘度(VG460相当)のものでは、潤滑性能はまったく異なります。軸受の回転速度や温度に応じた基油粘度の選定も同時に必要です。

よくある誤解③:使用環境を考慮せず選定している

ちょう度番号の選定では、設備の動作条件と使用環境の双方を考慮する必要があります。具体的には以下の4要素が判断軸になります。

  • 回転速度(dn値:軸径×回転数)
  • 使用温度(低温始動・高温連続運転)
  • 給脂方式(手差し・グリースガン・集中給脂)
  • 環境条件(粉塵・水濡れ・縦軸/横軸)

これらの条件によって、最適なちょう度は変わります。たとえば集中給脂システムでは配管内をグリースが流れる必要があるため、柔らかい0号・00号が選ばれます。一方で高温・粉塵環境の軸受では、漏れにくく密封性の高い硬めの番手が選ばれるケースが一般的です。

注意:硬すぎるグリースのリスク 低温始動時に硬いグリースを使うと、起動トルクが過大になりモーター負荷が増加します。冬場の屋外設備で「朝一番だけ調子が悪い」というケースは、ちょう度が硬すぎることが原因の場合があります。また、硬すぎるグリースは軸受内でうまく流動できず、転動体にグリースが供給されない「グリース切れ」状態を引き起こすこともあります。

グリースの硬さ(ちょう度番号)の選び方5つのポイント

ここからは、現場でちょう度番号を選定する際の具体的な5つのポイントを解説します。設備の使用条件に応じて、どの番手を選ぶべきかを判断できるようになることがゴールです。

ステップ①:軸受メーカーの推奨ちょう度を確認する

最初に確認すべきは、使用している軸受や設備メーカーが推奨するちょう度です。取扱説明書やカタログには、軸受の型番ごとに推奨グリースが指定されている場合があります。メーカー推奨がある場合は、まずそれを起点に検討するのが現場での定石です。

メーカー推奨を確認するポイント 軸受メーカーが指定する推奨グリースには、ちょう度番号・基油粘度・増ちょう剤の種類が記載されています。3つの条件をすべて満たした製品を選ぶことで、保証内での使用が可能になります。

ステップ②:低温・低速・集中給脂なら柔らかい番手を選ぶ

柔らかいグリース(0号・00号・000号など)は流動性が高く、低温始動性や集中給脂での搬送性に優れます。以下の条件下では、柔らかい番手を選定することで潤滑不良のリスクを減らせます。

条件推奨ちょう度理由
集中給脂システム0号・00号配管内を流動させる必要があるため
低温始動(−20℃以下)0号・1号起動トルクを抑え、低温流動性を確保
歯車ケース内00号・000号歯面に追従し油浴のように使用できる
低速・大型軸受1号柔らかいほうが転動体に供給されやすい

ステップ③:高温・高速・粉塵環境なら硬い番手を選ぶ

硬いグリースは保持性に優れ、漏れにくいという特徴があります。高温・高速・縦軸など、グリース漏れや飛散が懸念される条件では、硬めの番手を選定することでトラブルを防ぎやすくなります。

条件推奨ちょう度理由
高温連続運転(120℃以上)2号・3号高温で軟化してもグリース切れを防止
縦軸・揺動運転2号・3号重力で落下しにくく保持性が高い
粉塵・水濡れ環境2号・3号シール性が高く異物侵入を防止
高速回転(dn値60万以上)2号・3号飛散・撹拌損失を抑制

ステップ④:給脂方式と封入量に合わせて調整する

給脂方式によっても適切なちょう度は変わります。手差しやグリースガンでの給脂と、集中給脂システムや自動給脂器を使用する場合では、配管内の搬送性の有無が選定基準を大きく左右します。

ポイント:集中給脂システムでは配管長と気温も考慮 配管長が長い、または冬場に気温が下がる工場では、硬めのグリースを選ぶと配管詰まりを起こすケースがあります。配管長10m以上、または冬場の気温が10℃を下回る環境では、0号・00号の使用を検討してください。

ステップ⑤:増ちょう剤の種類とセットで検討する

ちょう度番号だけを見て選ぶのではなく、増ちょう剤の種類(リチウム系・リチウムコンプレックス系・ウレア系など)とセットで検討することが、長期使用での性能を左右します。同じちょう度番号でも増ちょう剤が違えば、耐熱性や耐水性、機械的安定性が大きく異なります。

注意:グリースの混合には注意が必要 異なる増ちょう剤のグリースを混合すると、急激な軟化や分離が起こるケースがあります。グリースを切り替える際は、既存グリースを除去してから補給することをお勧めします。

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よくある質問(FAQ)

ちょう度番号は数字が大きいほど高性能ですか?
いいえ、ちょう度番号は性能の優劣ではなく、グリースの硬さの違いを表す指標です。数字が大きいほど硬いグリースになりますが、使用条件によっては柔らかいグリースのほうが性能を発揮します。設備の運転条件・温度・給脂方式に合わせた選定が必要です。
どのちょう度番号を選べばよいかわからないときはどうすればよいですか?
まずは使用している軸受や設備メーカーの取扱説明書を確認し、推奨ちょう度を起点に検討してください。推奨が不明な場合は、回転速度・使用温度・給脂方式・環境条件の4つを整理したうえで、潤滑剤の専門商社に相談することをお勧めします。
ちょう度と基油粘度はどちらが重要ですか?
どちらも同じくらい重要で、両方の指標を合わせて選定する必要があります。ちょう度はグリースの保持性・流動性を、基油粘度は実際の潤滑性能を決定します。回転速度が高い軸受では低粘度の基油を、低速・高荷重の軸受では高粘度の基油を選ぶのが基本です。
異なるちょう度番号のグリースを混ぜても大丈夫ですか?
同じ増ちょう剤・同じ銘柄であれば、ちょう度番号が異なっても混合できる場合があります。ただし増ちょう剤の種類が違うと、急激な軟化や分離が起こるケースがあります。銘柄やちょう度を切り替える際は、既存グリースを除去してから新しいグリースを補給することをお勧めします。
グリースのちょう度は使用中に変化しますか?
はい、変化します。長時間の運転による機械的せん断や熱劣化、水分混入などにより、ちょう度は徐々に変化(一般的には軟化)していきます。定期的なグリース分析や状態確認を行うことで、劣化の進行を把握し、適切なタイミングで補給・交換を行うことが重要です。

まとめ

グリースのちょう度番号は、設備の潤滑性能と寿命を左右する重要な指標です。本記事の要点を以下にまとめます。

  1. ちょう度番号はNLGIが定めるグリースの硬さの指標で、000号〜6号の9段階。数字が大きいほど硬い。
  2. 選定の起点は軸受メーカーの推奨ちょう度。推奨があればそれを基準に検討する。
  3. 集中給脂・低温始動・歯車ケースなどでは柔らかい番手(0号・00号)、高温・縦軸・粉塵環境では硬い番手(2号・3号)を選ぶ。
  4. ちょう度と基油粘度は別物。両方をセットで検討することが必須。
  5. 増ちょう剤の種類によって性能が大きく変わる。グリース切り替え時は既存グリースを除去してから補給する。
ちょう度番号の選定に迷ったら専門家へ グリースのちょう度番号は、使用条件・温度・回転速度・給脂方式など多くの要素を組み合わせて判断する必要があります。自社設備に最適なグリースが分からない場合は、専門商社に相談することで、現場条件に合った油種を提案してもらえます。近畿インペリアル 導入事例一覧はこちら

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この記事を書いた人
フミ
近畿インペリアル株式会社 営業部 主任

工業用潤滑剤の専門商社に5年間勤務。適油選定・オイル分析サポートから現場での更油作業まで自ら担当し、鉄鋼・食品・プラントなど多業種の設備保全を支援。営業担当としてお客様と現場に向き合い続けた実体験をもとに、「現場の担当者が本当に知りたいこと」を軸に記事を執筆しています。

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