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粘度指数(VI)とは?高粘度指数油の3つのメリットを徹底解説

潤滑コラム

粘度指数(VI)とは?高粘度指数油の3つのメリットを徹底解説

公開日:2026/5/13

更新日:2026/5/13

温度変化に強い潤滑油を選ぶカギ「粘度指数(VI)」の基本から、高VI油が設備保全にもたらすメリットまで現場目線で解説します。

「夏になると油圧装置の動きが鈍くなる」「冬場の始動時に圧力が立ち上がりにくい」――こうした温度変化による設備トラブルに頭を悩ませている設備保全担当者の方は少なくありません。

この温度依存トラブルの多くは、潤滑油の「粘度指数(VI)」への理解不足や油種選定のミスが根本原因です。粘度指数は、温度が変わったときに粘度がどれだけ安定しているかを表す重要な指標であり、適切に理解すれば設備の安定稼働に直結します。

この記事では、粘度指数(VI)の基本から、高粘度指数油が現場にもたらす具体的なメリット、選定時の注意点までを詳しく紹介します。

粘度指数(VI)の基本と低VI油で起こる問題

粘度指数(VI)の話に入る前に、まず潤滑油の「粘度」と「粘度指数」がまったく別の概念であることを押さえておく必要があります。この2つを混同すると、油種選定で大きなミスにつながります。

粘度指数の基本①:粘度指数(VI)とは何か

粘度指数(Viscosity Index、略称VI)は、潤滑油の粘度が温度によってどれだけ変化するかを表す指標です。40℃100℃の2つの動粘度から算出され、数値が大きいほど温度による粘度変化が小さいことを意味します。

もともと粘度指数は、温度依存性の小さいペンシルバニア系原油から作られた潤滑油を100、依存性の大きいガルフ・コースト系の潤滑油を0として定義されました。ただし、現在の高性能潤滑油では100を大きく超える製品も多く、合成油では150〜250という高い値も珍しくありません。

粘度指数の基本②:粘度(VG)との違い

現場でよく混同されるのが、「粘度(VG)」と「粘度指数(VI)」の違いです。粘度(VG:Viscosity Grade)は「ある温度での油の硬さ」を表す指標で、ISO VG32・VG46・VG68などの番号で区分されます。一方の粘度指数(VI)は、「温度が変わったときの粘度の安定性」を表す指標です。

同じVG46の油でも、VIが90のものと150のものでは、稼働温度における実際の粘度はまったく異なります。VGだけを見て油種を選定すると、温度幅の広い設備では想定外のトラブルにつながるケースがあります。

ポイント:VGとVIはセットで確認する カタログを見るときは、VGとVIの両方を必ず確認することが重要です。VGは「設備メーカーが推奨する硬さに合っているか」、VIは「使用温度範囲で粘度が安定しているか」をそれぞれチェックします。

粘度指数の基本③:低粘度指数油で起こりやすい現場トラブル

粘度指数が低い潤滑油は、温度変化に対して粘度が大きく変動します。気温が上がる夏場や、設備の連続運転で油温が上昇する状況では、想定以上に粘度が低下し、油膜切れや圧力低下を招くケースがあります。

逆に冬場や寒冷地、屋外設置の設備では、低温時に粘度が急上昇し、ポンプの吸い込み不良や始動時のキャビテーション、起動トルク不足といった問題が現れます。これらは「油の選定が悪い」のではなく、温度幅に対してVIが不足していることが原因であるケースが多く見られます。

注意:VG(粘度番号)だけで油を選んでいませんか 「VG46を使っているから同じVG46に交換すればよい」という選定は、温度幅の広い設備では失敗しやすい判断です。VGが同じでもVIが大きく異なれば、稼働温度における実際の粘度はまったく違うものになります。

粘度指数の基本④:粘度指数を左右する要素

粘度指数は、主に基油の種類と粘度指数向上剤(VII)の配合によって決まります。基油の中でも炭化水素系の鉱物油はVIが100前後にとどまるものが多く、合成炭化水素(PAO)やエステル系などの合成基油はもともと高いVIを持っています。

さらに、ポリマー系の粘度指数向上剤を添加することで、VIを150以上まで引き上げた製品も流通しています。高温時にポリマーが基油中で広がり、粘度の低下を抑える働きをするのが基本的なメカニズムです。

基油の種類VIの目安特徴
一般鉱物油(グループI)80〜100程度コストは安いが温度変化に弱い
高度精製鉱物油(グループII・III)100〜130程度バランス型。汎用設備に多用
合成油(PAO・エステル)130〜170程度温度幅の広い用途に適する
VII配合製品150〜250程度幅広い温度域で粘度を維持

高粘度指数油がもたらす3つのメリットと選定方法

ここからは、粘度指数の高い潤滑油(以下、高VI油)に切り替えることで現場が得られる具体的なメリットと、選定時のポイントを解説します。

メリット1:油膜保持力の向上と機械寿命の延長

高VI油の最大のメリットは、稼働温度が上昇しても粘度の落ち込みが小さく、必要な油膜を保ちやすいことです。油圧装置や歯車装置、軸受などでは、油膜が薄くなると金属接触が起こり、摩耗・焼付き・異音といったトラブルにつながります。

夏場の高負荷運転や、屋外設備で外気温が大きく変動する条件では、高VI油を採用することで油膜切れのリスクを大幅に下げられるケースが多くあります。これは結果として、軸受・歯車・ポンプといった主要部品の寿命延長に直結します。

メリット2:低温始動性と省エネ効果

高VI油は、低温時の粘度上昇が小さいことも大きな特徴です。冬場や寒冷地での始動時、低VI油では粘度が高くなりすぎて、ポンプの吸い込み不良や起動トルクの増大が発生しがちです。

高VI油に切り替えることで、低温始動がスムーズになり、油圧装置の応答性も改善します。さらに、稼働中の流体抵抗(攪拌抵抗)が小さくなることで、モーターの消費電力を抑える省エネ効果が見込めるケースもあります。

高VI油への切り替えが特に効果的なケース ・夏冬の温度差が大きい屋外・半屋外設備
・連続運転で油温が80℃以上まで上昇する油圧装置
・低温始動性が問題になっている寒冷地の建設機械・港湾設備
・省エネ目標が設定されている工場の油圧プレス・射出成形機

メリット3:油種統合と在庫管理の効率化

VIが低い油は、夏用・冬用で油種を使い分けたり、設備ごとに細かくVGを変えたりする必要が出てきます。高VI油は1種類で広い温度範囲をカバーできるため、現場で扱う潤滑油の銘柄数を絞り込みやすくなります。

銘柄数を減らせれば、誤注油のリスク低減、在庫スペースの圧縮、発注業務の簡素化など、現場運用面でのメリットも生まれます。設備保全の負担軽減という観点でも、高VI油は有力な選択肢です。

選定方法:高VI油の選定で押さえるべき4つの視点

高VI油を選定する際は、単にVIの数値が高いものを選べばよいわけではありません。以下の視点を組み合わせて評価することが大切です。

  • 設備メーカーの推奨VG(粘度グレード)を満たしているか
  • 使用温度範囲(最低油温〜最高油温)に対してVIが十分か
  • VII(粘度指数向上剤)の剪断安定性は確保されているか
  • シール材・塗料・他の潤滑剤との相性に問題はないか
注意:粘度指数向上剤の剪断劣化に注意 ポリマー系のVIIは、ギヤやポンプ内で強い剪断力を受け続けると分子が切断され、粘度指数が低下するケースがあります。特に高圧の油圧装置では「剪断安定性(VIロス)」のデータを確認した上で油種を決定することが重要です。

グリースの場合の考え方

グリースの場合は、基油の粘度指数に加えて、増ちょう剤の種類によっても温度特性が大きく変わります。広い温度範囲で使用したいときは、合成基油+リチウムコンプレックスやウレア系といった耐熱性の高い増ちょう剤を選ぶケースが一般的です。

注意:グリースの混合には注意が必要 異なる増ちょう剤のグリースを混合すると、急激な軟化や分離が起こるケースがあります。グリースを切り替える際は、既存グリースを除去してから補給することをお勧めします。

近畿インペリアルの解決事例

創業60年以上、累計約1,000設備以上の導入実績を持つ近畿インペリアルでは、温度変化による潤滑油トラブルや、高粘度指数油への切り替えに関するご相談を数多く解決してきました。

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よくある質問(FAQ)

粘度指数(VI)はどのくらいの値があれば「高い」と言えますか?
明確な定義はありませんが、一般的にはVI 120以上で「高VI油」、VI 140〜150以上で「超高VI油」と呼ばれるケースが多く見られます。ただし、求められる値は使用温度範囲によって変わるため、設備の最低油温と最高油温を踏まえて判断することが大切です。
粘度指数が高ければ高いほど良い油と考えてよいですか?
温度安定性の観点では有利ですが、VIIを多く添加した油は剪断劣化によりVIが低下するリスクもあります。設備の運転条件(圧力・剪断・温度)に合わせ、剪断安定性のデータも含めて総合的に判断することが重要です。
既存の鉱物油から高VIの合成油に切り替える際の注意点は何ですか?
シール材との適合性、既存油との相溶性、フィルターやストレーナーの目詰まりなどを事前に確認する必要があります。多くの場合、いきなり全量交換するのではなく、フラッシングや段階的な切り替えを推奨します。詳細はメーカーや専門商社への相談をおすすめします。
VGとVIはどちらを優先して油種を選べばよいですか?
まずは設備メーカー推奨のVG(粘度グレード)を満たすことが大前提です。その上で、使用温度範囲が広い場合や省エネ・部品寿命の改善を狙う場合に、VIの高い銘柄を選ぶという順序が一般的です。
高VI油に切り替えると本当に省エネ効果が出ますか?
条件によりますが、低温始動時のトルク削減や、流体抵抗の低減によりモーター消費電力が下がるケースがあります。効果の大きさは設備や運転条件によって差があるため、データ取りや試験運転を行ったうえでの判断をお勧めします。

まとめ

  1. 粘度指数(VI)は温度変化に対する粘度の安定性を示す指標であり、粘度(VG)とはまったく別の概念である
  2. 低VI油は夏冬の温度差や連続運転による油温上昇で粘度変化が大きく、油膜切れや始動不良の原因になる
  3. 高VI油は油膜保持力の向上、低温始動性と省エネ、油種統合という3つのメリットをもたらす
  4. 選定時はVGの適合性・使用温度範囲・剪断安定性・シール適合性を組み合わせて評価することが重要である
  5. 自社設備に最適な高VI油の選定には、基油・添加剤・運転条件を踏まえた専門的な判断が欠かせない
粘度指数の選び方に迷ったら専門家へ 高VI油への切り替えは、シール適合性や剪断安定性など複数の要素を踏まえた判断が必要です。近畿インペリアルでは、適油選定からオイル分析、現場での更油まで一貫してサポートしています。実際の解決事例はこちらからご確認ください。

粘度指数の選び方や高VI油への切り替えでお困りの場合、まずはお気軽にご相談ください。
豊富な実績と約1,000設備の導入経験を持つ専門スタッフが対応いたします。

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この記事を書いた人
フミ
近畿インペリアル株式会社 営業部 主任

工業用潤滑剤の専門商社に5年間勤務。適油選定・オイル分析サポートから現場での更油作業まで自ら担当し、鉄鋼・食品・プラントなど多業種の設備保全を支援。営業担当としてお客様と現場に向き合い続けた実体験をもとに、「現場の担当者が本当に知りたいこと」を軸に記事を執筆しています。

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