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油圧作動油はAWとR&Oどっち?種類と選定基準を解説

潤滑コラム

油圧作動油はAWとR&Oどっち?種類と選定基準を解説

公開日:2026/3/18

更新日:2026/5/28

摩耗防止型(AW)と無添加型(R&O)はどう違うのか。高圧用途・水分混入リスク・銀銅メッキとの相性まで、潤滑油専門商社が選定基準を解説します。

油圧作動油の種類とは?摩耗防止型(AW)と無添加型(R&O)の違いを潤滑商社が解説

油圧システムにおいて、作動油は動力を伝える「機械の血液」です。しかし、いざ交換や補充をしようとカタログを見ると「摩耗防止型(AW)」や「無添加型(R&O)」といった種類があり、どちらを選べばよいか迷われる方も多いのではないでしょうか。今回は、工業用潤滑油の専門商社の視点から、この2つの決定的な違いと選定のポイントを分かりやすく解説します。

1. 油圧作動油の「2大勢力」とは?

市販されている油圧作動油のほとんどは、その特性によって以下の2種類に大別されます。それぞれの役割と添加剤の違いを理解することが、適切な油種選定の第一歩です。

摩耗防止型(AW:Anti-Wear)

金属同士が擦れ合う部分に強力な保護膜を作る「極圧剤(主に亜鉛系など)」が添加されているタイプです。高圧下でも金属接触を防ぎ、ポンプやバルブの摩耗を抑制する役割を担います。現代の油圧機器の多くは、このAW型が標準仕様となっています。

無添加型(R&O:Rust & Oxidation)

サビ止め(Rust)」と「酸化防止(Oxidation)」に特化したオイルです。摩耗防止剤は含まれていないか、ごく少量に抑えられています。添加剤がシンプルな分、化学的に安定しており、特定の条件下でオイル自体を長寿命化できる特徴があります。

ポイント:添加剤の有無で性格が変わる

AWは「守りに強いオイル」、R&Oは「劣化しにくいオイル」とイメージすると分かりやすいです。どちらが優れているかではなく、機械の使われ方によって最適解が変わります。

2. 【比較表】摩耗防止型(AW)vs 無添加型(R&O)

現場での使い分けを判断するための比較表です。圧力・温度・水分の混入リスクを中心にチェックしてください。

摩耗防止型(AW)と無添加型(R&O)の特性比較
比較項目摩耗防止型(AW)無添加型(R&O)
主な役割強力な油膜による摩耗低減酸化抑制と防錆による長寿命化
得意な環境高圧(14MPa以上)・高速回転低圧・一定温度・安定稼働
代表的な用途一般的な産業機械、建設機械軽負荷の減速機、古い油圧装置
注意点水分混入でスラッジが出やすい高負荷環境ではポンプが焼き付く恐れ
注意:スペックだけで選ばない

同じ「AW型」「R&O型」でも、メーカーや銘柄によって添加剤の配合や粘度特性は異なります。カタログ上の分類だけで判断せず、必ず使用条件(圧力・温度・稼働時間)と照らし合わせて選定してください。

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導入事例|お客様の現場で活きた潤滑剤の選定例

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3. どちらを選ぶべきか?判断の目安

「摩耗防止型(AW)」を選ぶべきケース

現代の多くの油圧機器はAW型が推奨されます。以下に該当する場合は、迷わずAW型を選択してください。

  • 高圧・高負荷で稼働している:圧力が高いほどポンプ内部の金属接触が激しくなるため、極圧剤による保護膜が必要です。
  • 機械を長持ちさせたい:内部部品の摩耗を抑えることで、突発的な故障リスクを低減できます。
  • 建設機械や射出成形機など、間欠的に大負荷がかかる用途:起動・停止のたびに金属接触が起きるため、保護膜の形成が不可欠です。

「無添加型(R&O)」を選ぶべきケース

特定の条件下では、あえてR&O型を選ぶのが正解です。

  • 水分が混入しやすい:摩耗防止剤(亜鉛系)は水と反応してドロドロの「スラッジ」になりやすく、フィルター詰まりの原因になります。
  • 特定の金属(銀・銅)を使用している:古い機械や特殊なポンプでは、添加剤が金属を腐食させることがあります。
  • 低負荷でオイルを長持ちさせたい:添加剤が少ない分、オイル自体の化学的な安定性は高い傾向にあります。
注意:銀・銅メッキ部品との相性

船舶用タービンや一部の発電機など、軸受に銀合金や銅系メタルを使用している機器でAW型を使うと、亜鉛系添加剤が腐食を引き起こすことがあります。設計図やメーカー指定書で材質を確認してから選定してください。

4. 専門商社が教える「失敗しない選定」のコツ

「今までR&Oを使っていたところにAWを入れてもいいのか?」といったご相談をよくいただきます。結論から言えば、「混ぜるのは厳禁」ですが、「フラッシング(洗浄)を伴う切り替え」は、機械の負荷状況によっては非常に有効な改善策になります。

油種選定を見直すべきサイン

以下のような症状がある場合は、現在使用している油種が機械の状況に合っていない可能性があります。

  • 油温が異常に上昇する(通常運転温度より10℃以上高い)
  • ポンプから「キーン」という高い異音がする
  • 作動油の色が急激に濃くなった(酸化劣化のサイン)
  • フィルター交換頻度が以前より明らかに増えている
ポイント:切り替え時は必ずフラッシングを

異なる種類のオイルを混ぜると、添加剤同士が反応してスラッジが発生することがあります。R&OからAWへ、またはその逆へ切り替える際は、機械内部に残った旧油をしっかり排出し、必要に応じてフラッシングオイルで洗浄してから新油を入れるのが鉄則です。

5. まとめ:最適なオイルは「現場」が決める

油圧作動油の選定に「これさえあれば万全」という唯一の正解はありません。メーカー指定を基本としつつ、現場の稼働状況や温度、水分混入のリスクを総合的に判断する必要があります。

  1. 現代の油圧機器は基本的にAW型が標準
  2. 水分混入リスクや銀・銅部品がある場合はR&O型を検討
  3. 異なる油種は混合厳禁、切り替え時はフラッシング必須
  4. 油温上昇・異音・色の急変は油種見直しのサイン
郁(フミ)
この記事を書いた人
郁(フミ)
近畿インペリアル 営業部 主任

工業用潤滑剤の専門商社に5年間勤務。適油選定・オイル分析サポートから現場での更油作業まで自ら担当し、鉄鋼・食品・プラントなど多業種の設備保全を支援。営業担当としてお客様と現場に向き合い続けた実体験をもとに、「現場の担当者が本当に知りたいこと」を軸に記事を執筆しています。

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