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油の清浄度管理とは|ISO 4406の読み方とコンタミ対策5つ

潤滑コラム

油の清浄度管理とは|ISO 4406の読み方とコンタミ対策5つ

公開日:2026/6/19

更新日:2026/7/1

ISO 4406とNAS等級の読み方、コンタミの発生源、ろ過による清浄度改善まで、油の清浄度管理の実務をまとめました。

油の清浄度管理とは|ISO 4406の読み方とコンタミ対策5つ

設備の油圧バルブが突然動かなくなった、ポンプの摩耗が想定より早い——その背景に、目に見えない油中の汚染粒子(コンタミネーション)が関わっているケースは少なくありません。油の清浄度管理は、こうしたトラブルの根本原因を「数値」で捉え、未然に防ぐための実務です。本記事では、清浄度の指標であるISO 4406NAS等級の読み方、コンタミの発生源、そしてろ過や防塵による具体的な対策までを整理します。

なぜ「油の清浄度管理」が設備保全の起点になるのか

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潤滑油は単なる消耗品ではなく、設備の状態を映す「血液」のような存在です。その油に混入する固体粒子=コンタミ(汚染物)は、粘度や酸価といった性状の変化と並んで、設備故障の引き金になります。まずは、なぜ清浄度を管理する必要があるのか、その背景から整理します。

汚染粒子(コンタミ)が摩耗・故障を引き起こす仕組み

潤滑油の役割は、金属面どうしの直接接触を油膜で防ぐことにあります。しかし軸受やギア、油圧バルブの隙間(クリアランス)はわずか数μm(マイクロメートル)しかない部位が多く、ここに同程度のサイズの硬い粒子が入り込むと、油膜を突き破って金属面を削るアブレシブ摩耗が発生します。

やっかいなのは、削れた金属粉そのものが新たなコンタミとなり、さらに摩耗を進める「連鎖」を起こす点です。一度始まった汚染は放置するほど加速度的に悪化し、最終的には油膜切れ焼き付き、油圧バルブの固着(スティック)といった重大トラブルに至ります。

注意:見えない粒子こそ危険

人の目で確認できる粒子はおおむね40μm以上とされ、油圧システムやギアで最も摩耗を起こしやすいのは数μm〜十数μmの微小粒子です。つまり、目視で「濁ってきた」と気づいた時点では、清浄度はすでにかなり悪化している可能性があります。

コンタミはどこから入るのか — 主な発生源と侵入経路

コンタミは、運転中に内部で発生するものと、外部から侵入するものに大きく分かれます。代表的な経路を整理すると、対策のポイントが見えてきます。

コンタミの主な発生源と侵入経路
区分発生源・経路主な対策の方向性
内部発生摩耗粉・スラッジ・酸化生成物適切なろ過・更油周期の管理
外部侵入給油・補給時の異物混入清浄な容器・給油器具の使用
外部侵入タンクの呼吸(エア出入り)による塵埃エアブリーザー(防塵フィルタ)の設置
外部侵入シール・パッキン劣化からの侵入シールの点検・交換
新油由来新油そのものに含まれる粒子受け入れ時の清浄度確認(必要に応じてろ過)
ポイント:新油は「クリーンな油」とは限らない

ドラムやペール缶で納入される新油には、製造・輸送・保管の過程で一定量の粒子が含まれていることがあります。「新油だから清浄」とは限らないため、特にサーボ弁などクリアランスの小さい高精度な油圧系では、受け入れ時に清浄度を確認し、目標値に満たない場合はろ過してから投入することが有効なケースもあります。

「見えない汚れ」を数値で捉える必要性

ここまで見てきたように、コンタミは目視では捉えにくく、しかも設備への影響は大きいものです。だからこそ、清浄度を「きれい/汚い」という感覚ではなく、粒子数にもとづく共通の数値(コード)で管理することが重要になります。その世界共通のものさしがISO 4406であり、油圧分野で長く使われてきたNAS等級です。次の章で、その読み方と具体的な管理方法を見ていきます。

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清浄度を数値で管理する — ISO 4406・NAS等級と5つの対策

油の清浄度管理の核心は、清浄度を数値化し、設備ごとに「目標値(ターゲット)」を決めて、その範囲に収まるよう維持・改善することにあります。ここでは、代表的な2つの指標であるISO 4406NAS等級の読み方、目標値の決め方、そして清浄度を保つための実務を順に見ていきます。

ISO 4406コードの読み方(4μm/6μm/14μm)

ISO 4406は、油1mL中に含まれる粒子の数を、3つのサイズごとにコード化した国際規格です。現行の方式では、4μm以上・6μm以上・14μm以上の粒子数をそれぞれカウントし、「18/16/13」のように3つの数字で表します。左から順に、4μm以上・6μm以上・14μm以上に対応します。

各数字は粒子数そのものではなく、粒子数が収まる「範囲」を表すコードです。重要なのは、コードが1つ増えるごとに粒子数の範囲が約2倍になるという対数の関係です。つまり「18」と「16」では、わずか2コード差でも粒子数は約4倍違うことになります。数字が大きいほど汚れている、という点を押さえておけば、レポートの読み違いを防げます。

ISO 4406 コード番号と1mLあたりの粒子数の範囲(抜粋)
コード番号1mLあたりの粒子数の範囲
2220,000〜40,000
205,000〜10,000
181,300〜2,500
16320〜640
1480〜160
1340〜80
1220〜40
ポイント:コード「18/16/13」の意味

18/16/13は、4μm以上の粒子が1mLあたり1,300〜2,500個、6μm以上が320〜640個、14μm以上が40〜80個含まれることを示します。粒子計測には自動粒子計数器(APC)が用いられ、校正の基準としてはISO 11171が広く使われています。

NAS等級(NAS 1638)の考え方とISO 4406との関係

NAS等級(NAS 1638)は、もともと米国の航空宇宙分野で生まれた清浄度規格で、油圧分野を中心に日本でも長く使われてきました。ISO 4406が粒子の「累積数」でコード化するのに対し、NAS 1638は5〜15μm/15〜25μm/25〜50μm/50〜100μm/100μm超という区分ごとの粒子数(100mLあたり)で評価し、最も汚れているサイズ区分の値をその油の等級(クラス00〜12)とするのが一般的です。数字が小さいほどきれいで、クラス0や00が最もクリーンな状態を表します。

注意:ISO 4406とNAS等級の換算は「目安」

ISO 4406とNAS等級は、測定の考え方(累積数か区分ごとか)も粒子サイズの区切りも異なるため、両者を厳密に1対1で変換することはできません。換算表は実務上の目安として参考になりますが、管理値を決める際は、どちらの指標で運用するかを社内で統一しておくことをお勧めします。なお、NAS 1638は規格としてはSAE AS4059へ移行(実質的に旧規格化)していますが、現場では引き続き広く使われています。

目標清浄度(ターゲット)の決め方

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目標清浄度は、すべての設備で一律に決めるものではありません。基本的な考え方は、その系統の中で最も汚れに弱い部品(サーボ弁など)の要求清浄度に合わせることです。一般的な目安として、以下のような水準が参考にされています。ただし、設備メーカー(OEM)が清浄度を指定している場合は、その推奨値が優先されます。

設備タイプ別のISO 4406目標清浄度の一般的な目安
設備・用途ISO 4406の目安
サーボ弁を含む高精度油圧16/14/11 程度 以下
一般的な油圧システム18/16/13 程度
ギア・軸受の循環給油19/17/14 程度

上表はあくまで一般的な目安であり、OEM推奨値や運転条件(温度・負荷・使用環境)によって適切な水準は変わります。

効果的な進め方:まず現状値を知る

目標を決める前に、まずは現状の清浄度を測定し、設備ごとの「今の値」を把握することが出発点になります。現状値と目標値のギャップが分かれば、ろ過の強化が必要なのか、更油や発生源対策が必要なのか、打ち手の優先順位を判断できます。傾向管理(定期測定による経時変化の把握)と組み合わせると、悪化の兆候を早期に捉えられます。

清浄度を保つ・改善する5つの実務

目標清浄度を達成・維持するための実務は、大きく次の5つに整理できます。

  • ① 新油の清浄度管理:受け入れ時に清浄度を確認し、必要に応じてろ過してからタンクへ。「新油=クリーン」と決めつけないことが第一歩です。
  • ② ろ過の最適化:フィルタのろ過精度はβ値(βx)で評価します。稼働中の系統に加え、オフライン(キドニーループ)ろ過で清浄度を底上げする方法も有効です。
  • ③ 防塵対策:タンクの呼吸口にエアブリーザー(吸湿・防塵タイプ)を設置し、シールやパッキンを点検して外部からの侵入を抑えます。
  • ④ 正しいサンプリング:運転中に配管の代表点から、清浄なボトルで採取します。採取方法が不適切だと、数値そのものが信頼できなくなります。
  • ⑤ 傾向管理:単発の測定値で一喜一憂せず、定期測定で経時変化を追います。清浄度の上昇傾向は、汚染源やろ過能力の問題を示すサインです。
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これらは特別な設備がなくても、運用ルールの整備とサンプリング・測定の習慣化から始められます。近畿インペリアルは創業60年以上、累計約1,000設備以上の導入実績の中で、適油選定からオイル分析・更油管理まで一貫して支援してきました。清浄度管理の仕組みづくりは、こうした日々の積み重ねの延長線上にあります。

よくある質問

ISO 4406とNAS等級は、どちらを使えばよいですか?
どちらでも管理は可能ですが、現在は国際的にISO 4406が主流になりつつあります。一方、油圧分野ではNAS等級が根強く使われており、設備メーカーの指定や社内の過去データとの整合を優先するのが現実的です。大切なのは、社内で指標を統一し、同じものさしで継続的に比較できる状態にしておくことです。
清浄度はどのくらいの頻度で測定すべきですか?
設備の重要度や運転条件によりますが、重要設備では定期的な傾向管理を行うのが一般的です。新油投入後、フィルタ交換後、トラブル発生時などの「節目」で測定すると、変化を捉えやすくなります。単発の値よりも、経時的な推移を追うことに意味があります。
フィルタを細かくすれば清浄度は上がりますか?
ろ過精度を上げれば清浄度は改善しやすくなりますが、目詰まりによる差圧上昇やバイパス流れに注意が必要です。フィルタはろ過精度(β値)と流量・差圧のバランスで選ぶもので、闇雲に細かくすればよいわけではありません。系統全体での発生源対策と組み合わせることが効果的です。
新油なのに清浄度が悪いのはなぜですか?
新油でも、製造・輸送・保管の過程で粒子が混入していることがあり、目標清浄度を満たさない場合があります。受け入れ時に清浄度を確認し、必要に応じてろ過してからタンクへ投入する運用が有効です。「新油はきれい」という前提は、見直す価値があります。

まとめ

  1. 油の清浄度管理は、目に見えない汚染粒子(コンタミ)を数値で捉え、摩耗・故障を未然に防ぐための実務である。
  2. ISO 4406は4μm/6μm/14μm以上の粒子数を3つのコードで表し、コードが1つ増えるごとに粒子数は約2倍になる。
  3. NAS等級は区分ごとの粒子数で評価する指標で、ISO 4406との厳密な換算はできないため、社内で指標を統一する。
  4. 目標清浄度は、系統内で最も汚れに弱い部品に合わせて設定し、OEM推奨値があればそれを優先する。
  5. 清浄度の維持・改善は、新油管理・ろ過・防塵・正しいサンプリング・傾向管理の5つの実務を地道に積み重ねることが基本となる。
油の清浄度管理に関するお悩みはありませんか? ISO 4406の目標値設定・ろ過やサンプリングの進め方など、油の清浄度管理のお悩みも、メーカーに縛られない独立した立場で、設備環境に合わせた適油選定・オイル分析をご提案します。見積もり・トラブル相談まで、1営業日以内に専門スタッフが対応します。 油の清浄度管理について相談する →
郁(フミ)
この記事を書いた人
郁(フミ)
近畿インペリアル 営業部 主任

工業用潤滑剤の専門商社に5年間勤務。適油選定・オイル分析サポートから現場での更油作業まで自ら担当し、鉄鋼・食品・プラントなど多業種の設備保全を支援。営業担当としてお客様と現場に向き合い続けた実体験をもとに、「現場の担当者が本当に知りたいこと」を軸に記事を執筆しています。

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