グリースのちょう度|No.1とNo.2の違いと番手別の使い分け
グリースを選ぶとき、容器に書かれた「No.1」「No.2」といったちょう度の番手で迷った経験はないでしょうか。番手を一つ取り違えるだけで、低温でうまく送られない、軸受から漏れ出す、増ちょう剤が想定どおり働かないといったトラブルにつながることもあります。本記事では、グリースのちょう度とは何かという基礎から、No.1とNo.2の具体的な違い、そして低温・集中給油・高荷重など条件別の番手の選び方までを整理します。番手選定の判断軸を言語化し、現場での適油選定に役立てていただける内容です。
グリースのちょう度とNLGI番手の基礎
No.1とNo.2の違いを理解する前に、まずちょう度そのものが何を表す指標なのかを押さえておくと、番手選定の判断が一段としやすくなります。ここでは測定の考え方と、番手と硬さの関係を整理します。
ちょう度はグリースの「やわらかさ」を数値化したもの
ちょう度とは、グリースの硬さ・やわらかさを数値で表したものです。規定の形状をした円すい(コーン)をグリース表面に一定時間沈め、その沈み込んだ深さを1/10mm単位で表します。数値が大きいほど深く沈む、つまりやわらかいグリースであることを意味します。
番手分類に用いられるのは、グリースを規定どおりに混ぜてから測定する混和ちょう度です。具体的には、専用のワーカーで25℃・60往復混和した直後に測定します。容器に入った状態のまま測る不混和ちょう度と区別され、JIS K 2220やASTM D217でのグレード分類は混和ちょう度が基準となります。
ちょう度は、グリースが軟らかいか硬いかを示す指標です。潤滑性能そのものの優劣を表すものではない点を、まず前提として押さえておくと混乱を避けられます。
番手が大きいほど「硬い」グリース
NLGI(米国潤滑グリース協会)が定めた番手は、混和ちょう度の範囲ごとに区分されています。ここで間違いやすいのが、番手の数字とちょう度の数値は逆の関係にある点です。番手が大きいほどちょう度の数値は小さく、硬いグリースになります。工業設備でよく扱う範囲は次のとおりです。
| NLGI番手 | 混和ちょう度 | 硬さの目安 | 主な使われ方 |
|---|---|---|---|
| No.0 | 355〜385 | 半流動に近い | 集中給油・低温 |
| No.1 | 310〜340 | やわらかい | 集中給油・低温環境 |
| No.2 | 265〜295 | 標準(中程度) | 転がり軸受・汎用(最も一般的) |
各番手は30きざみの幅を持ち、番手間には15ほどの間隔が空いています。これより軟らかいNo.00・No.000(半流動グリース)や、より硬いNo.3以上も規格上は存在しますが、一般的な工業設備で実際に扱う機会が多いのはNo.0からNo.2の範囲です。
「番手が大きい=高性能」ではない
現場でしばしば見られる誤解が、「硬い番手ほど高温や高荷重に強い」という思い込みです。ちょう度はあくまで硬さの指標であり、耐熱性や耐荷重性を直接表すものではありません。
グリースの耐熱性や耐荷重性は、主に基油の粘度と増ちょう剤の種類(リチウム、リチウムコンプレックス、ウレアなど)、配合される添加剤によって決まります。番手だけを見て「硬いから高温でも大丈夫」と判断すると、想定外の油膜切れや焼き付きを招くことがあります。番手は給油方式や保持性の観点で、性能は基油・増ちょう剤の観点で、分けて確認することをお勧めします。
