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グリースのちょう度とは|1号と2号の違いと番手別の使い分け

潤滑コラム

グリースのちょう度とは|1号と2号の違いと番手別の使い分け

公開日:2026/6/18

更新日:2026/7/1

グリースのちょう度(番手)の意味、1号と2号の違い、低温・集中給油・高荷重など条件別の選び方を潤滑剤の専門商社が解説します。

グリースのちょう度|No.1とNo.2の違いと番手別の使い分け

グリースを選ぶとき、容器に書かれた「No.1」「No.2」といったちょう度の番手で迷った経験はないでしょうか。番手を一つ取り違えるだけで、低温でうまく送られない、軸受から漏れ出す、増ちょう剤が想定どおり働かないといったトラブルにつながることもあります。本記事では、グリースのちょう度とは何かという基礎から、No.1とNo.2の具体的な違い、そして低温・集中給油・高荷重など条件別の番手の選び方までを整理します。番手選定の判断軸を言語化し、現場での適油選定に役立てていただける内容です。

グリースのちょう度とNLGI番手の基礎

No.1とNo.2の違いを理解する前に、まずちょう度そのものが何を表す指標なのかを押さえておくと、番手選定の判断が一段としやすくなります。ここでは測定の考え方と、番手と硬さの関係を整理します。

ちょう度はグリースの「やわらかさ」を数値化したもの

ちょう度とは、グリースの硬さ・やわらかさを数値で表したものです。規定の形状をした円すい(コーン)をグリース表面に一定時間沈め、その沈み込んだ深さを1/10mm単位で表します。数値が大きいほど深く沈む、つまりやわらかいグリースであることを意味します。

番手分類に用いられるのは、グリースを規定どおりに混ぜてから測定する混和ちょう度です。具体的には、専用のワーカーで25℃・60往復混和した直後に測定します。容器に入った状態のまま測る不混和ちょう度と区別され、JIS K 2220やASTM D217でのグレード分類は混和ちょう度が基準となります。

ポイント:ちょう度は「硬さの物差し」

ちょう度は、グリースが軟らかいか硬いかを示す指標です。潤滑性能そのものの優劣を表すものではない点を、まず前提として押さえておくと混乱を避けられます。

番手が大きいほど「硬い」グリース

NLGI(米国潤滑グリース協会)が定めた番手は、混和ちょう度の範囲ごとに区分されています。ここで間違いやすいのが、番手の数字とちょう度の数値は逆の関係にある点です。番手が大きいほどちょう度の数値は小さく、硬いグリースになります。工業設備でよく扱う範囲は次のとおりです。

NLGI番手と混和ちょう度の対応(25℃・1/10mm)
NLGI番手混和ちょう度硬さの目安主な使われ方
No.0355〜385半流動に近い集中給油・低温
No.1310〜340やわらかい集中給油・低温環境
No.2265〜295標準(中程度)転がり軸受・汎用(最も一般的)

各番手は30きざみの幅を持ち、番手間には15ほどの間隔が空いています。これより軟らかいNo.00・No.000(半流動グリース)や、より硬いNo.3以上も規格上は存在しますが、一般的な工業設備で実際に扱う機会が多いのはNo.0からNo.2の範囲です。

「番手が大きい=高性能」ではない

現場でしばしば見られる誤解が、「硬い番手ほど高温や高荷重に強い」という思い込みです。ちょう度はあくまで硬さの指標であり、耐熱性や耐荷重性を直接表すものではありません。

注意:耐熱・耐荷重はちょう度では決まらない

グリースの耐熱性や耐荷重性は、主に基油の粘度増ちょう剤の種類(リチウム、リチウムコンプレックス、ウレアなど)、配合される添加剤によって決まります。番手だけを見て「硬いから高温でも大丈夫」と判断すると、想定外の油膜切れ焼き付きを招くことがあります。番手は給油方式や保持性の観点で、性能は基油・増ちょう剤の観点で、分けて確認することをお勧めします。

COLUMN | あわせて読みたい グリースの種類と特徴|リチウム・ウレア・カルシウムの違いを比較 番手は硬さの目安。耐熱性・耐水性を左右する増ちょう剤の違いを、代表3種で比較します。 詳しく読む → グリース選定ガイドブック(無料)

No.1とNo.2の違いと番手別の選び方

ここからは、最も問い合わせの多いNo.1とNo.2の違いを具体的に整理し、設備の条件に応じた番手の選び方を解説します。多くの現場で標準的に使われるのはNo.2ですが、用途によってはNo.1が適するケースもあります。

No.1とNo.2の特徴を比較する

No.1はNo.2よりもやわらかく、流動しやすいグリースです。やわらかさは低温での送り出しやすさポンプ搬送性で有利に働く一方、保持性(その場にとどまる力)ではNo.2に一歩譲ります。両者の傾向をまとめると次のとおりです。

グリースNo.1とNo.2の特徴比較
項目No.1No.2
混和ちょう度310〜340265〜295
硬さやわらかい標準(中程度)
低温始動性・ポンプ搬送性良好普通
集中給油・自動給油適する配管が短ければ可
漏れにくさ・保持性普通良好
主な用途低温環境・集中給油・長い配管転がり軸受全般・汎用

汎用的な転がり軸受への手詰めや密封構造では、グリースが軸受内にとどまり続けることが重要になるため、保持性に優れるNo.2が標準的な選択肢になります。一方で、配管を通してグリースを送り出す方式では、やわらかいNo.1のほうがスムーズに供給できる場面が増えます。

条件別の番手の選び方

番手を決めるときは、設備メーカーの指定を最優先の基準としつつ、次の観点で調整すると判断しやすくなります。

低温環境・寒冷地で使う場合

低温では、硬いグリースは流動しにくくなり、始動時の起動トルクが大きくなりがちです。冬季の屋外設備や冷却を伴うラインなどでは、やわらかいNo.1(場合によってはNo.0)を選ぶことで、低温始動性を確保しやすくなります。

集中給油・自動給油システムを使う場合

長い配管を経由してグリースを送る集中給油では、流動性が供給安定性を左右します。配管が長い・口径が細い・低温で運用するといった条件ではNo.1が向くケースが多く、配管が短く常温運用であればNo.2でも問題なく供給できることがあります。

ポイント:給油方式から逆算する

「手詰め・密封ならNo.2」「長い配管の集中給油ならNo.1寄り」というように、給油方式と温度から番手を逆算すると選定がぶれにくくなります。最終的には設備メーカーの指定値を基準に、現場条件で微調整するのが実務的です。

漏れや流出を防ぎ、保持性を高めたい場合

グリースを所定の位置に保持したい用途、たとえば縦軸漏れを防ぎたい密封部、振動や衝撃のかかる箇所では、保持性に優れるNo.2が基本の選択肢になります。なお、漏れや流出を抑えたいからといって番手を硬くしても、前述のとおり高温・高荷重への耐性は番手では決まりません。保持性が課題のときは、基油粘度増ちょう剤、密封構造の見直しもあわせて検討するのが実務的です。

番手選定で迷ったときの考え方

まずはNo.2を基準に置き、「低温で送りにくい」「集中給油の配管が長い」といった理由があるときにNo.1へ、と理由を持って判断すると整理しやすくなります。漏れや流出を防ぎたい場合は、番手を硬くする前に基油粘度・増ちょう剤・密封構造の見直しから検討するのが現実的です。近畿インペリアルでは創業60年以上・累計約1,000設備以上の適油選定で培った知見をもとに、設備条件に合わせた番手・基油・増ちょう剤の組み合わせを総合的に検討しています。

よくある質問(FAQ)

グリースの「No.1」と「No.2」はどちらを選べばよいですか?
用途によって異なります。転がり軸受への手詰めや汎用用途では、保持性に優れるNo.2が標準的です。低温環境や、長い配管を使う集中給油・自動給油では、流動性に優れるNo.1が向くことが多くなります。まずは設備メーカーの指定番手を確認するのが確実です。
ちょう度の番手が大きいほど高性能なのですか?
いいえ。番手はグリースの硬さを示す指標であり、性能の優劣を表すものではありません。耐熱性や耐荷重性は、主に基油の粘度と増ちょう剤の種類、添加剤によって決まります。硬い番手だから高温・高荷重に強い、とは限らない点に注意が必要です。
混和ちょう度と不混和ちょう度は何が違うのですか?
混和ちょう度は、専用のワーカーで25℃・60往復混ぜた直後に測定した値です。不混和ちょう度は容器に入った状態のまま測定した値を指します。NLGI番手の分類に用いられるのは混和ちょう度のほうです。
使用中にグリースがやわらかくなるのはなぜですか?
運転中のせん断や、基油がにじみ出る離油などにより、ちょう度が変化することがあります。せん断によってどの程度軟化しにくいかは、せん断安定性(機械的安定性)の指標で評価されます。傾向管理の一環として、定期的に状態を確認することが有効です。
番手の違うグリースを混ぜて使っても問題ありませんか?
同じ増ちょう剤・基油系であれば番手違いの影響は比較的小さいですが、増ちょう剤の種類が異なるグリースを混ぜると、急激な軟化や分離(離油)が起こり、油膜が形成されにくくなるケースがあります。グリースを切り替える際は、既存グリースを除去してから新しいグリースを補給することをお勧めします。
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まとめ

  1. ちょう度はグリースの硬さを数値化した指標で、番手分類には25℃・60往復で測る混和ちょう度を用います。
  2. NLGI番手は数字が大きいほど硬く、ちょう度の数値とは逆の関係にあります。
  3. No.1はやわらかく低温・集中給油向き、No.2は標準で転がり軸受・汎用向きです。
  4. 耐熱性・耐荷重性はちょう度ではなく、基油粘度と増ちょう剤の種類で決まります。
  5. 迷ったら設備メーカー指定を基準に、温度・給油方式・保持性の観点で番手を調整します。
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郁(フミ)
この記事を書いた人
郁(フミ)
近畿インペリアル 営業部 主任

工業用潤滑剤の専門商社に5年間勤務。適油選定・オイル分析サポートから現場での更油作業まで自ら担当し、鉄鋼・食品・プラントなど多業種の設備保全を支援。営業担当としてお客様と現場に向き合い続けた実体験をもとに、「現場の担当者が本当に知りたいこと」を軸に記事を執筆しています。

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