フェログラフィー分析とは?摩耗粉5つの形状で故障を見抜く方法
設備の異常をもっと早く、確実に捉えたい。油分析の数値は見ているが、何が起きているのか踏み込んで知りたい。そんな保全現場の悩みに応えるのがフェログラフィー分析です。この記事では、フェログラフィー分析の基本と、摩耗粉の5つの形状から故障の前兆を読み解く方法を解説します。摩耗粉の「形」を見る意味がわかれば、突発故障を未然に防ぐ精度が一段上がります。
フェログラフィー分析とは何か、なぜ摩耗粉の形状が重要なのか
フェログラフィー分析とは、潤滑油やグリース中に含まれる摩耗粉を磁気の力で抽出し、観察・測定する設備診断手法です。摩耗粉の大きさ・量・色・そして形状を調べることで、機械内部のどこで、どのような摩耗が進行しているかを推定します。
一般的なオイル分析では、油そのものの状態を調べる性状分析が広く使われています。具体的には、動粘度(油の硬さの変化)、酸価(酸化)(油の劣化度)、水分(水の混入量)、不溶解分・汚染度(固形分やコンタミの量)などを測定し、油が適切な状態を保てているかを判断します。
これらの性状分析は油の劣化や汚染を捉えるのに有効ですが、機械内部で「どのような摩耗が進行しているか」までは直接わかりません。たとえば不溶解分や汚染度が摩耗粉の総量の目安にはなっても、その粉が正常な摩耗によるものか、異常摩耗によるものか、形状までは判別できないのです。
動粘度や酸価、汚染度といった性状の数値が正常範囲でも、内部では異常摩耗が静かに進行しているケースがあります。油の状態が健全だからといって、必ずしも機械内部が健全とは限りません。粒子の「形」と「大きさ」を直接見るフェログラフィーが、この見落としを補います。
フェログラフィー分析の基本的な仕組み
フェログラフィー分析には大きく2つの手法があります。1つは分析フェログラフィで、ガラス基板(フェログラム)上に摩耗粉を大きさ順に並べて固定し、顕微鏡で一粒ずつ詳細に観察します。形状や色、材質まで踏み込んで判断できるのが特長です。
もう1つは定量フェログラフィで、抽出した摩耗粉のうち大粒子と小粒子の量を光学的に測定し、その比率から摩耗の進行度を数値で把握します。日常的な傾向管理(トレンド監視)に向いています。多くの現場では、まず定量フェログラフィで異常の兆候を掴み、変化が見られた油を分析フェログラフィで精密に観察するという二段構えで運用されています。
なぜ「形状」を見ることが故障予知につながるのか
摩耗粉は、発生したメカニズムによって特徴的な形をとります。正常な慣らし運転で出る粉と、焼き付き寸前に出る粉とでは、形も大きさもまったく異なります。つまり摩耗粉の形状は、機械内部で起きている現象を映す「指紋」のようなものです。
摩耗粉の形を読み解けば、単に「摩耗が増えた」だけでなく、正常摩耗なのか、異常摩耗なのか、どの種類の異常なのかまで踏み込んで推定できます。これが状態基準保全(CBM)の精度を高め、突発的な設備停止を防ぐ大きな武器になります。
近畿インペリアルでは、創業60年以上で培った知見と累計約1,000設備以上の導入実績をもとに、オイル分析や設備診断のサポートを行っています。性状分析やフェログラフィー分析を組み合わせた多角的な診断で、現場の保全担当者の判断を支えています。
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