グリースのちょう度番号とは?硬さの選び方を潤滑商社が解説
ちょう度番号の選定を誤ると、潤滑不良による軸受の早期摩耗や、グリース漏れ・焼き付きといった重大トラブルに直結します。逆に、ちょう度の意味と選び方の基準を押さえておけば、設備寿命を大きく伸ばすことが可能です。
この記事では、ちょう度番号の定義から、現場での選び方の具体的な基準、よくある選定ミスまでを詳しく紹介します。
ちょう度番号とは何か|定義と基礎知識
ちょう度番号(ちょうどばんごう/稠度番号)とは、グリースの硬さを表す指標のことです。NLGI(米国潤滑グリース協会)が定めた区分で、000号から6号までの9段階に分類されます。数字が小さいほど柔らかく、大きいほど硬いグリースになります。
設備の使用条件や封入箇所によって最適なちょう度は異なり、選定を誤ると潤滑性能が十分に発揮されません。まずはちょう度番号の意味と、決定方法を正しく理解することが重要です。
よくある誤解①:ちょう度の測定方法を知らないまま選定している
ちょう度は「混和ちょう度(こんわちょうど)」という試験値で決まります。これは、規定の重さの円錐をグリースに5秒間沈めたときの「沈み込み量」を0.1mm単位で表したものです。沈み込みが深いほど数字が大きく、グリースは柔らかい(ちょう度番号は小さい)ということになります。
混和ちょう度の数値が大きいほどグリースは柔らかく、NLGI番号は小さくなります。
| NLGI番号 | 混和ちょう度(0.1mm) | 硬さの目安 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 000号 | 445〜475 | 非常に柔らかい(半流動状) | 集中給脂・歯車ケース |
| 00号 | 400〜430 | 柔らかい(半流動状) | 集中給脂・小型減速機 |
| 0号 | 355〜385 | やや柔らかい | 低温用・集中給脂 |
| 1号 | 310〜340 | 柔らかめ | 低温・低速軸受 |
| 2号 | 265〜295 | 標準的な硬さ | 汎用軸受 |
| 3号 | 220〜250 | やや硬い | 高温・高速軸受 |
| 4号 | 175〜205 | 硬い | 高温・粉塵環境 |
| 5号 | 130〜160 | 非常に硬い | 特殊用途 |
| 6号 | 85〜115 | ブロック状 | 特殊用途 |
よくある誤解②:ちょう度と粘度を混同している
現場でよくある誤解が、「ちょう度」と「粘度」の混同です。グリースは基油と増ちょう剤からできていますが、ちょう度はグリース全体の硬さを示すものであり、基油の粘度(さらさら/どろどろの度合い)とは別物です。
たとえば同じちょう度番号のグリースであっても、基油粘度が低粘度(VG32相当)のものと高粘度(VG460相当)のものでは、潤滑性能はまったく異なります。軸受の回転速度や温度に応じた基油粘度の選定も同時に必要です。
よくある誤解③:使用環境を考慮せず選定している
ちょう度番号の選定では、設備の動作条件と使用環境の双方を考慮する必要があります。具体的には以下の4要素が判断軸になります。
- 回転速度(dn値:軸径×回転数)
- 使用温度(低温始動・高温連続運転)
- 給脂方式(手差し・グリースガン・集中給脂)
- 環境条件(粉塵・水濡れ・縦軸/横軸)
これらの条件によって、最適なちょう度は変わります。たとえば集中給脂システムでは配管内をグリースが流れる必要があるため、柔らかい0号・00号が選ばれます。一方で高温・粉塵環境の軸受では、漏れにくく密封性の高い硬めの番手が選ばれるケースが一般的です。
低温始動時に硬いグリースを使うと、起動トルクが過大になりモーター負荷が増加します。冬場の屋外設備で「朝一番だけ調子が悪い」というケースは、ちょう度が硬すぎることが原因の場合があります。また、硬すぎるグリースは軸受内でうまく流動できず、転動体にグリースが供給されない「グリース切れ」状態を引き起こすこともあります。
