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ISO VG(粘度等級)の読み方と選び方|失敗しない4つの確認軸

潤滑コラム

ISO VG(粘度等級)の読み方と選び方|失敗しない4つの確認軸

公開日:2026/6/19

更新日:2026/6/25

ISO VG(粘度等級)の数値が示す意味と読み方、運転温度・負荷・回転数から適切な粘度を選ぶ手順を、設備保全の現場目線で整理します。

ISO VG(粘度等級)の読み方と選び方|失敗しない4つの確認軸

設備の潤滑油を選定する際、ラベルやSDSに記載された「ISO VG 46」「ISO VG 68」といった粘度等級の数字は、潤滑性能を左右する重要な指標です。一方で、この数値が具体的に何を示し、どの条件で等級を上げ下げすべきかは、現場でも判断が分かれる場面があります。本記事では、ISO VGの数値の読み方から、運転温度・負荷・回転数といった条件に応じた粘度の選び方までを整理します。粘度のミスマッチによるトラブルを未然に防ぎ、設備に合った一本を選ぶための実務的な判断軸をお伝えします。

ISO VG(粘度等級)とは|数値の意味と読み方

ISO VGは、工業用潤滑油の粘度を分類する国際規格ISO 3448に基づく粘度等級です。「VG」はViscosity Grade(粘度等級)の略で、後ろに付く数字が粘度の高さを表します。まずは、この数字が何を基準にした値なのかを押さえておきます。

ISO VGの数字は「40℃の動粘度」を表す

ISO VGの数字は、その油の40℃における動粘度(単位:mm²/s。cStと同義)の中心値を示します。たとえばISO VG 46であれば、40℃での動粘度がおよそ46mm²/sということです。数字が大きいほど粘度が高く(硬く)、小さいほど粘度が低く(やわらかく)なります。

基準が40℃なのは、多くの産業機械の油温が定常運転で40〜60℃前後に収まることが多く、比較対象として実用的だからです。粘度は温度で大きく変化するため、「何℃での粘度か」を固定しなければ等級として比較できません。ISO VGはこの基準を40℃に統一しています。

±10%の許容幅と等級の刻み方

各等級には±10%の許容幅が設けられています。ISO VG 46なら41.4〜50.6mm²/sの範囲に収まる油が「VG 46」と表示されます。つまり同じVG 46でも、メーカーや銘柄によって範囲内で多少のばらつきがあります。

ISO VG(ISO 3448)における代表等級と40℃動粘度の範囲
ISO VG中心値(mm²/s)40℃の動粘度範囲
VG 323228.8〜35.2
VG 464641.4〜50.6
VG 686861.2〜74.8
VG 10010090.0〜110
VG 150150135〜165
VG 220220198〜242

等級は、隣り合う番号でおよそ1.5倍ずつ粘度が変わる刻みになっています(VG 32→46→68→100…)。一つ上の等級にすると粘度はおよそ1.5倍になる、という感覚を持っておくと、選定時の調整がイメージしやすくなります。

ポイント:数字は「粘度の高さ」、基準は40℃

ISO VGの数字は40℃の動粘度(mm²/s)の中心値です。数字が大きいほど硬く、隣の等級でおよそ1.5倍ずつ変化します。各等級には±10%の幅があります。

粘度が低すぎるとどうなるか

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選定した油の粘度が運転条件に対して低すぎると、金属同士を隔てる油膜が薄くなり、十分な潤滑膜を保てなくなります。

注意:低粘度すぎる場合のリスク

油膜が不足すると金属接触が増え、摩耗焼き付きにつながります。高負荷・低速の条件では特に油膜が切れやすく、軸受やギヤの早期損傷を招くことがあります。

粘度が高すぎるとどうなるか

逆に粘度が高すぎると、油が流れにくくなり攪拌抵抗が増します。

注意:高粘度すぎる場合のリスク

起動トルクの増大発熱、ポンプ負荷の上昇によるエネルギーロスが生じます。低温始動時に油が硬すぎると、必要な箇所まで油が届かず油膜切れ(供給不足)が起こることもあります。

ISO VGの選び方|運転条件から最適な粘度を決める

適切なISO VGは、機械の種類・運転温度・負荷・回転数といった条件から総合的に判断します。ここでは現場で使える4つのステップに沿って、粘度等級の選び方を整理します。

ステップ1:メーカー指定・設備マニュアルを最優先で確認する

最も確実なのは、設備メーカーが指定する粘度等級に従うことです。取扱説明書や銘板には推奨ISO VG(または推奨動粘度)が記載されていることが多く、これが選定の出発点になります。

指定がある場合は指定を基準に

メーカー指定がある場合は、その等級を基準にします。指定品が入手しにくい、複数メーカーで銘柄が分かれているといった場合は、同等の粘度等級・性状で代替品を選定します。近畿インペリアルは創業60年以上、累計約1,000設備以上の導入実績をもとに、複数メーカーから条件に合う一本を独立して選定します。

ステップ2:運転温度から粘度を考える

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ISO VGは40℃基準ですが、実際の油温が高い設備では運転温度での粘度が下がる点に注意が必要です。油温が高めの環境では一段高い等級を、低温で起動する環境では始動性を考えて低めの等級を検討します。

目安として、油温が高い・低速高負荷の条件では粘度を上げる方向、油温が低い・高速の条件では粘度を下げる方向で調整します。

ステップ3:負荷・回転数(dn値)から考える

転がり軸受では、dn値(軸受内径mm × 回転数min⁻¹)が粘度選定の目安になります。dn値が大きい(高速)ほど低い粘度が、小さい(低速・高負荷)ほど高い粘度が適する傾向があります。

ポイント:高速は低粘度、低速高負荷は高粘度

回転が速いほど薄い油膜でも潤滑が成立しやすく、低粘度が向きます。逆に低速・高負荷では厚い油膜が必要なため、高粘度を選びます。

ステップ4:粘度指数(VI)と広い温度域への対応

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粘度指数(VI)は、温度による粘度変化の小ささを示す指標です。VIが高い油ほど、低温から高温まで幅広い温度域で粘度が安定します。

季節や運転状況で油温の変動が大きい設備、屋外設置の設備などでは、同じISO VGでもVIの高い油を選ぶことで、低温時の硬さと高温時の油膜保持を両立しやすくなります。

ISO VG等級ごとの主な用途の目安(一般的な傾向)
ISO VG主な用途の目安
VG 32高速の油圧装置、低温環境の油圧
VG 46一般的な油圧作動油、軸受潤滑
VG 68油圧・軸受・一般潤滑、やや高温環境
VG 100〜150中速ギヤ、循環給油
VG 220〜320工業用ギヤ、低速高負荷
VG 460以上大型・低速・高負荷のギヤ

上表は一般的な傾向の目安です。実際の選定では、メーカー指定と運転条件を優先します。

ISO VGとSAE粘度の違いに注意

ISO VGは工業用油の規格、SAE粘度はおもに自動車用(エンジン油・ギヤ油)の規格で、測定温度も体系も異なります。SAEエンジン油は主に100℃と低温始動性で評価し、ISO VGは40℃で評価します。

両者には大まかな対応の目安はありますが、温度基準が違うため厳密には一対一で換算できません。SAE表記の指定をISO VGに置き換える際は、動粘度の実数値で照合することをお勧めします。

よくある質問(FAQ)

ISO VG 46と68で迷ったときの考え方は?
運転温度が高め・負荷が大きい・低速なら68寄り、油温が低め・高速・始動性重視なら46寄りが目安です。ただしメーカー指定がある場合はそれを優先します。迷う場合は、実際の油温と運転条件を整理したうえで判断します。
ISO VGとSAE粘度はどう違いますか?
ISO VGは工業用油の規格で40℃基準、SAEは自動車用が中心で100℃や低温始動性で評価します。測定温度も体系も異なるため、一対一の換算はできません。置き換える際は動粘度の実数値で照合します。
粘度等級の違う油を混ぜても問題ありませんか?
異なる粘度等級の油を混合すると、狙った粘度から外れて油膜の形成や放熱に影響することがあります。等級を切り替える際は、既存油を抜き取ってから新しい油を入れることをお勧めします。
ISO VGの数字は何を表していますか?
40℃における動粘度(mm²/s)の中心値です。VG 46なら40℃で約46mm²/s。数字が大きいほど高粘度で、各等級に±10%の許容幅があります。
同じISO VGなら、どのメーカーの油でも同じ粘度ですか?
40℃の動粘度はほぼ同等ですが、±10%の幅内でばらつきがあり、粘度指数(VI)や添加剤の構成は銘柄ごとに異なります。粘度等級が同じでも、性状や用途適性は個別に確認することをお勧めします。

まとめ

  1. ISO VGの数字は40℃の動粘度(mm²/s)の中心値。数字が大きいほど高粘度で、各等級に±10%の許容幅がある。
  2. 粘度が低すぎると油膜切れ・摩耗・焼き付き、高すぎると起動トルク増大・発熱を招く。
  3. 選定はメーカー指定を最優先。次いで運転温度・負荷・回転数(dn値)から調整する。
  4. 油温変動が大きい設備は、同じISO VGでも粘度指数(VI)の高い油で温度域に対応する。
  5. ISO VGとSAEは基準が異なり一対一換算は不可。動粘度の実数値で照合する。
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郁(フミ)
この記事を書いた人
郁(フミ)
近畿インペリアル 営業部 主任

工業用潤滑剤の専門商社に5年間勤務。適油選定・オイル分析サポートから現場での更油作業まで自ら担当し、鉄鋼・食品・プラントなど多業種の設備保全を支援。営業担当としてお客様と現場に向き合い続けた実体験をもとに、「現場の担当者が本当に知りたいこと」を軸に記事を執筆しています。

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