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ウレアグリースとは?高温・長寿命の特性と選定の4ポイント

潤滑コラム

ウレアグリースとは?高温・長寿命の特性と選定の4ポイント

公開日:2026/6/18

更新日:2026/7/1

ウレアグリースが高温・長寿命に優れる理由と、リチウム系との違い、基油やちょう度など現場での選定ポイントを解説します。

ウレアグリースとは?高温・長寿命の特性と選定の4ポイント

高温環境で使う軸受のグリースがすぐに劣化してしまう、給脂間隔をもっと延ばしたい——そうした現場で候補に挙がるのがウレアグリースです。リチウム系グリースとは増ちょう剤の仕組みが異なり、高温・長寿命に強いという特長を持ちます。この記事では、ウレアグリースがなぜ高温や長期使用に向くのかという特性の理由から、リチウム系との違い、そして基油やちょう度といった現場での選定ポイントまでを整理します。自社設備に合うグリースを見極める判断材料としてご活用ください。

ウレアグリースとは?高温・長寿命を支える特性

ウレアグリースは、ジウレアと呼ばれる有機化合物を増ちょう剤に用いたグリースです。リチウム石けんのような金属石けん系とは異なる仕組みで基油を保持し、高温環境や長期使用に強いという特長を持ちます。まずはその構造と、高温・長寿命を支える特性を整理します。

ウレアグリースの基本構造(ジウレア増ちょう剤)

グリースは「基油」「増ちょう剤」「添加剤」で構成され、増ちょう剤が基油を網目状に保持することで半固体の状態を保ちます。ウレアグリースの増ちょう剤であるジウレアは、金属を含まない有機系の増ちょう剤です。金属石けん系のように高温で軟化・分解しにくく、構造が崩れにくい点が特徴です。

増ちょう剤の種類はグリースの耐熱性や寿命を大きく左右します。リチウム石けん系が汎用グリースの主流である一方、より過酷な温度域ではウレアやリチウムコンプレックスが選ばれる場面が増えています。

特性①:高い耐熱性

ウレアグリースの代表的な特長が耐熱性です。グリースが半固体を保てなくなる温度の目安である滴点は、ジウレアグリースで約250°C以上と高く、軟化しにくい性質を持ちます。

ただし滴点はあくまで上限の目安であり、実際に連続使用できる常用耐熱温度はこれより低くなります。基油の種類にもよりますが、ウレアグリースの常用上限はおおむね160〜180°C程度が目安とされます。

特性②:優れた酸化安定性(長寿命)

高温環境ではグリースの基油が酸化し、硬化やスラッジの生成、潤滑性能の低下が進みます。ジウレアは化学的に安定しており、高温下でも酸化による劣化が進みにくいため、結果としてグリース寿命が長くなります。

給脂間隔を延ばしたい用途や、頻繁な給脂が難しい密封軸受などで、この長寿命性が評価されています。

特性③:耐水性・長期メンテナンスフリー性

ウレアグリースは水に対しても比較的安定で、耐水性が良好なグレードが多くあります。水分の混入による乳化や流出が起こりにくく、湿潤環境でも潤滑膜を保ちやすい点はメンテナンス負荷の軽減につながります。

こうした高温・長寿命・耐水性の組み合わせから、ウレアグリースは長期間給脂しない密封軸受や、補給が難しい部位にも採用されています。

注意:高温特性だけで選ばない

ウレアグリースは高温に強い一方、製品によっては低温での流動性や特定の耐荷重・極圧性がリチウムコンプレックス系に劣る場合があります。常用温度の上限だけでなく、始動時の低温側や荷重条件も含めて確認することが大切です。

グリース増ちょう剤の特性比較(数値はいずれも目安)
項目リチウム石けんリチウムコンプレックスウレア(ジウレア)
滴点(目安)約180〜200°C約250〜280°C約250°C以上
常用耐熱温度(目安)約120〜130°C約150°C約160〜180°C
耐水性良好良好良好〜優
寿命(酸化安定性)標準長い長い
価格帯(目安)標準やや高いやや高い
ポイント:増ちょう剤の系統で耐熱性と寿命が変わる

同じ「高温対応」でも、リチウムコンプレックスとウレアでは得意な温度域やコスト感が異なります。常用温度域コストのバランスから、用途に合う系統を見極めることが選定の第一歩になります。

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ウレアグリースの選定 4つのポイント

ウレアグリースと一口に言っても、基油やちょう度の違いで性能は大きく変わります。ここでは、現場でウレアグリースを選ぶ際に確認したい4つのポイントを整理します。

①常用温度範囲を確認する

まず確認したいのが、設備の運転温度に対して製品の常用温度範囲が合っているかです。滴点が高くても、常用上限を超えれば基油の酸化や蒸発が早まります。高温側の上限だけでなく、冬季の始動時など低温側の下限も確認します。

メーカーのカタログには使用温度範囲が明記されています。外気温ではなく、運転時の実際の軸受温度を基準に照らし合わせることが重要です。

②基油の種類と粘度を選ぶ

増ちょう剤が同じウレアでも、基油が鉱物油か合成油かで温度特性が変わります。低温始動性や高温耐久性を重視するなら、合成油(PAO)基油のウレアグリースが選択肢になります。

ウレアグリースの基油タイプと特徴
基油タイプ特徴向く用途
鉱物油コスト性に優れ汎用的常温〜中温域の一般用途
合成油(PAO)低温流動性・耐熱性に優れる低温始動・高温域
エステル低温性・潤滑性が高い特殊な温度・摺動条件

基油の粘度も重要です。一般に、低速・高荷重では高粘度基油、高速回転では低粘度基油が適するとされます。回転数や荷重条件に合わせて選びます。

③ちょう度(NLGI番手)を用途に合わせる

ちょう度はグリースの硬さを表す指標で、NLGI番手で区分されます。番手が小さいほど軟らかく、大きいほど硬くなります。

  • No.1(軟らかめ):低温時や集中給脂配管での圧送に向く
  • No.2(標準):最も汎用的。多くの軸受で標準的に使われる
  • No.3(硬め):高速回転や高温で、漏れ・飛散を抑えたい用途に向く

給脂方法(手差し・集中給脂・グリースガン)や回転数に合わせて番手を選びます。集中給脂で配管が長い場合、硬すぎると圧送しにくくなる点に注意します。

④使用環境・規格要件を確認する

水や粉じんの多い環境では耐水性や防錆性、重荷重なら極圧性(EP性能)を確認します。食品機械など接触の可能性がある設備では、NSF H1などの食品機械用認証品を選ぶ必要があります。

ポイント:同じ高温用途でも最適解は一つではない

近畿インペリアルでは創業60年以上・累計約1,000設備以上の適油選定に携わる中で、同じ高温用途でも回転数や給脂方式によって最適なちょう度・基油が変わる事例を多く見てきました。運転条件を一つずつ照らし合わせることが、過不足のない選定につながります。

注意:異なる増ちょう剤との混合

ウレアグリースとリチウム系など、異なる増ちょう剤のグリースを混合すると、急激な軟化や分離(離油)が起こり、油膜が形成されにくくなるケースがあります。グリースを切り替える際は、既存グリースを除去してから新しいグリースを補給することをお勧めします。

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よくある質問(FAQ)

ウレアグリースとリチウムグリースは混ぜても大丈夫ですか?
増ちょう剤の系統が異なるため、混合すると軟化や離油が起こり、潤滑性能が低下するケースがあります。切り替える際は、既存のグリースをできるだけ除去してから新しいグリースを補給する手順をお勧めします。やむを得ず併用する場合も、まずは少量で相性を確認するのが安全です。
ウレアグリースの常用温度の上限はどのくらいですか?
基油の種類や添加剤によって異なりますが、ジウレアグリースの常用上限はおおむね160〜180°C程度が目安とされます。滴点(約250°C以上)はあくまで構造が崩れる温度の目安であり、連続使用できる温度ではありません。実際の判断は製品ごとの規定値を基準にしてください。
ウレアグリースは低温環境でも使えますか?
使用可否は基油によって変わります。鉱物油基油の製品は低温で硬くなり、始動トルクが増える傾向があります。低温始動を重視する場合は、合成油(PAO)基油で低温流動性に優れたグレードを選ぶと適合しやすくなります。製品の使用温度範囲の下限値を必ず確認してください。
ウレアグリースの交換(給脂)目安はどう判断すればよいですか?
適切な間隔は運転温度・回転数・汚染環境で大きく変わります。基本はメーカー規定の給脂間隔を基準にしつつ、離油や硬化、変色といった状態の変化を傾向管理で把握すると、過不足のない管理につながります。重要設備では定期的なグリース分析を併用する方法もあります。

まとめ

  1. ウレアグリースはジウレアを増ちょう剤に用い、高い耐熱性と酸化安定性によって高温・長寿命に強い
  2. リチウム系より常用耐熱温度・寿命で有利な一方、価格はやや高めで、適材適所での選定が前提となる
  3. 選定では「常用温度範囲」「基油の種類と粘度」「ちょう度(NLGI番手)」「使用環境・規格」の4点を確認する
  4. 異なる増ちょう剤との混合は離油や軟化のリスクがあるため、切り替え時は既存グリースを除去してから補給する
  5. 製品ごとの規定値(常用温度・給脂間隔)を基準に、傾向管理で状態を把握することが安定運用につながる
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郁(フミ)
この記事を書いた人
郁(フミ)
近畿インペリアル 営業部 主任

工業用潤滑剤の専門商社に5年間勤務。適油選定・オイル分析サポートから現場での更油作業まで自ら担当し、鉄鋼・食品・プラントなど多業種の設備保全を支援。営業担当としてお客様と現場に向き合い続けた実体験をもとに、「現場の担当者が本当に知りたいこと」を軸に記事を執筆しています。

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